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都城高専平成14年度入学式校長告辞

遙かに望む霊峰、高千穂の峰にも、春の息吹が感じられ、この都城盆地にも、桜が咲き、緑が芽吹く優雅な季節が訪れてきました。
本日ここに、青春の活気溢れる新入生を迎え、来賓各位ならびに保護者の方々の御臨席をいただき、第三十九回入学式並びに第一回専攻科入学式を挙行できますことは、教職員一同ならびに在校生一同の大きな喜びであります。
 入学を許可された学生は、新第一学年生・百六十五名、専攻科学生・二十二名、遠くベトナムとカンボデイアから第三学年に編入学する留学生二名、高校からの第四学年編入学生二名、計百九十一名です。
 諸君がこの日を迎えることが出来たのは、本人の努力の結果でありますが、これまでに気を配り、支えてくださった保護者の暖かい理解があったからです。保護者の皆様を始めご家族の喜びもさぞかしと思い、改めて「入学おめでとうございます」と申し上げます。
 新しい世紀に入り、本校の更なる発展を願うとき、高専教育研究のあり方にも見直しが迫られています。これまでの体制に安住しないで、学生、社会の声に耳を傾け、その期待に十分に応えているかを確かめながら自己改善を怠らないことで、本校が社会とともに発展し、開かれた存在となり、今世紀に相応しい技術者教育の場となると思われます。
 改革の理念に燃えているときに、客観的視点で点検していただき、それに基づき現行の教育研究体制を見直すことが大切と考え、外部から有識者を招き、本校の教育研究活動と学校運営全般にわたって評価及び提言を受けたところです。それを真摯に受け止め、技術者教育の国際的同等性を相互承認する認定制度への対応など、今後の改革を進めるに当たっての指標とします。
いまや、教育改革の推進が強く求められ、大きな時代の転換点にさしかかっております。ここへきて、五年一貫教育である高等専門学校制度の良さが、教育改革の中で、強く注目されています。卒業生は「準学士」として産業界の第一線で活躍するほか、大学第三学年へ、あるいは高専専攻科へ進学するなど、多様な選択肢から自分に適した道を選ぶことができます。
 本校は、教育・研究・産業の進展・国際化に対応し、国の内外で活躍できる、活力ある技術者の育成を目指し、教育の仕組みについても、改善を図ってきました。また、高学歴化への対応として、教職員一丸となって専攻科設置に取り組んできました。地域のご理解とご支援、教職員の努力とにより専攻科新設の夢は叶い、ここに第1回入学生を迎えることが出来ました。皆さんと、ともに喜びたいと思います。このように、今年の入学式は、本校創立以来の大きな転換をきたした、歴史的変革期を迎えたものとなりました。
 ご案内のように、専攻科とは高専卒業後に進む、専門性の高い2年間の教育過程のことで、試験に合格すれば、「学士」の称号が授与され、大学卒と同等の資格が得られるものです。
その専攻科教育の特色三点を挙げてみますと、最初に「創造性豊かな開発研究能力の育成」です。これからの技術者には、「専門的分野の深い知識」ばかりでなく、創造性豊かな「開発研究能力」が求められています。この能力を育てる最も効果的な学習が「研究」ですから、「研究」を重視します。
次に「実践的な技術力の育成」です。不況が続く現在でも、高専は大学と比べたら高い就職率を堅持しています。それは、高専卒の学生が、大学卒の学生より、より実践的な能力を持っていると評価されているからです。専攻科では、高専での実践的な技術力を育む教育を一層発展させます。
最後に「技術の高度化および学際化への対応」があります。技術の高度化・学際化への対応のために、各専攻ごとに独自の教育課程を組みます。
 このほか、専攻科進学に当たり、教育費用、授業内容、研究時間、就職先の拡大などの面でのメリットが多々あります。
教育研究の国際化に関する本校の取り組みとしては、モンゴル技術大学との間に結ばれた国際学術交流協定を礎として、協力研究を推進し、本校で平成十一年三月、「クリーン・エネルギーの応用に関するシンポジウムイン都城」を開催しました。さらに、科学研究費補助金「環境のための創造形教育と技術開発の確立」の採択を受け、平成十一年度から三年間の、同大学との新たな共同研究を実施し、本年三月にモンゴル国立科学技術大学でその成果を発表する「モンゴルにおける自然環境に関するシンポジウム」を開催しました。またその成果を基に、当大学で使用する「水に関する教科書」の編纂に取り組み、三月末に本校教官の執筆原稿をモンゴルに発送し、現在刊行の準備中です。このような本校教官の取り組みは、学生諸君の国際感覚を養い、国際貢献に役立つものと考えます。
本校の教育目標は、豊かな教養と国際的視野をもった幅広い人間性を身につけ、技術革新に対応できる、創造性に富む技術者を育成することにあります。資源を最大限に活用し、地球環境を保全する科学技術立国こそが、進むべき道です。二十一世紀は、まさに諸君の双肩にかかっているといっても過言ではありません。諸君は、そのことを自覚し、それにふさわしい努力をされることを希望してやみません。
来賓の方々には御多忙のところを、新入生の入学を祝福する為にお出で頂き誠に有り難うございます。また保護者の皆様方には、これまで同様、御子弟の健全な育成のために、その訓育に責任をもって、学校との連携を密にしていただくよう、切にお願いいたします。
目まぐるしい情報化、多様化、国際化の流れの中で勉学に励むことになりますが、諸君は本日の喜びを忘れず、教養を高め、心身を鍛え、所期の目的を達成してください。よき師、よき友を得て、健康に留意して、都城高専での勉学と課外活動を大いに楽しんでください。重ねて、皆さんの入学を祝し、私の挨拶と致します。


平成十四年四月八日
都城工業高等専門学校
校長  松 浦 修 平


都城市役所に懸垂幕を設置


西側のフェンスにも、専攻科設置PRの看板を設置