平成19年6月通常総会・特別講演

2007.6.20

場所:メインホテル

 6月通常総会と特別講演会、懇親会を行いました。特別講演は南九州大学園芸学部の山口健一教授にお願いしました。
演題は「農・園芸生産と自然環境 −合成農薬,化学肥料に代わる生物活用術ー」

【講演要旨】
 21世紀は環境の時代と言われ,農業においても’自然環境’に配慮した生産技術の確立が求められています。今回の講演では,合成農薬や化学肥料に依存した日本の農・園芸の現状を解説し,バイオ農薬など生物機能を利用した環境調和型の病害虫・雑草の防除方法に関する最新情報を提供します。また,演者の研究テーマの一つである南九州で顕在化している外来侵入雑草の問題を取り上げ,微生物を活用した雑草の制御法について展望します。

【演者の略歴】
千葉大学園芸学部卒業,同大学院(環境緑地学)修了.
1993年からNY州コーネル大学植物科学へ客員研究員として3年間留学し,米国農務省の研究プロジェクトに参画.帰国後は,三井化学ライフサイエンス研究所で,経済産業省などの植物バイオ研究をチームリーダーとして遂行.
2003年から南九州大学園芸学部.宮崎市在住,千葉県出身48歳.
専門は環境植物保護学.


南九州大学園芸学部山口教授。園芸学部があるのは千葉大学と南九州大学のみ

環境にやさしい持続可能な循環型園芸(Sustainable Horticulture)が求められている

農薬の使用量(金額)では世界第二位だが、単位面積当たりの使用量(金額)はダントツの一位である。(1ヘクタール8万円以上)

害虫から柑橘類を守るカビもある

病気から甘藷を守るカビも研究されている。非病原性でありワクチンのように使える

肥料の使用量も日本は多い。枯渇資源であるリンの使用量も世界平均より多い。(品質を追求することと使用量が多くても障害が出ないので多用するのでは)

リンを作物へ供給するカビも研究中

選択的にヒエだけを枯らすカビの農地での実験

南九州や中国ベトナムではヒエ以上にやっかいなアゼガヤを除草するカビも見つかっている

カビはタンク培養ができないのでスケールアップがむずかしい。現在使われているのはスポンジマリックス法である。

外来生物による生態系への影響が大きくなっているので「外来生物法」が施行された

山口教授が九州各地を調査し特定外来生物に指定された植物を多数確認。最近まで園芸店で良く売られていたボタンウキクサ(ウォーターレタス)も指定されていてびっくりしました。

逆に日本から逸出した雑草もある。

植物病理学・雑草学により作物病原菌の抑制や雑草の制御、除草などに展開ができる

34名の出席でした