児湯カヌークラブの小松君や河野君たちが、川辺川を下るというので便乗させてもらうことにした。児湯は総勢7人。こちらは、かにさん、藤山、小生の3人。
 串間のKawanoは、熱発就寝で不参加。Dobon夫婦も土壇場で参加できる環境が吹き飛んでしまったとのこと。それはそれでしかたがない。シーズンは始まったばかり、また行けばいいさ。
 高速をとばして目的地の観音橋まで一時間ちょい。快晴なんだけど、けっこう山ン中だし風が強くてやたらと寒い。それに少々、風邪気味でもある。

 川辺川は、球磨川では一番大きな支流で、五木の方から流れてきて人吉市の上流で合流する。上流にはダムが建設され五木の村は沈んでしまう。村と共に清流がまた一つ消えてしまい、カヌーで川下りなんぞと呑気なことも言えなくなってしまう。
 閑話休題。
 児湯のメンバーと合流し、カヌーを漕ぎ出す。



 我がチームのエース藤山は、4月で高鍋に転勤になってしまった。今度からは鬼の小松にしごかれることになる。小生は甘やかし過ぎであったかもしれない。小松君に鍛われるのもいいことである。彼は若い。
 それにしても今回はずいぶんと暖かそうな格好をしとるな。

 支流とは言ってもこの川はなかなかの大河である。それに、水がきれいで、やたらと冷たい。これならここら辺でもヤマメがいるのかもしれない。それにしては、ここらで釣りをしてるオジさんたちの仕掛けは大仕掛けである。きっと鯉も、でかいのがいるのであろう。清流に住む鯉。アライにして酢味噌で食うのかな。


 大きな川にしては堤防が低い。または無い。川沿いの家には必ずと言っていいほど川へ通じる道が作ってある。川は、生活の場であり、子供たちの遊び場なんだろう。都城なら高々と堤防を築き、わざわざその堤防に階段を付けて、親水公園でございます。なんてね。そんなのいやだな。
 ここいらでは、山が堤防の代わりをしているのである。ここから奥、山は深い。


 この川を下るのは難しい。熟練者ならばいざ知らず、小生ごとき技術の者にとっては難しかった。瀬を岩場が作っている。流れに沿って下っていると岩がそれを遮る。右に左にと岩を避けながら、岩が作る水路を選んで下っていくのである。流れの中で船を操る技がいる。実に新鮮な川下りである。


 この川下りで唯一、真っ直ぐに波の立ってる瀬である。低い位置から写真を撮ってるのでわからないが、けっこう大きな波がある。しかし、クセも無くたいへん快適な瀬である。この瀬は楽しかった。
 そのうちに、ここらでキャンプでもして遊びたい。開放感もあり、道路も近い。それに酒屋もすぐ近くにある。

 岩が瀬を作る典型的な場所である。一番向こう端をドボンという感じで抜けてくるのである。ここらまで下ってくると体も川に馴れてきて少々のことならだいじょうぶ。でも、沈はしないものの水はかぶる。ここみたいにドボンと下ると胸まで水に濡れてしまう。水はパドルを伝って二の腕まで濡らすし、寒いことこの上なし。

 さて、最後の写真。黄色い船を泳ぎながら押しているは妙齢の女性である。小松君が教えたカヌースクールの生徒さんだそうな。おそらく去年の夏あたりから乗り始めたのであろう。私は初心者ですから、と自ら言ってたし。
 彼女はこれが3度目の沈。

 カヌーはこけるものである。カヌーに乗るものにとって人の沈ほどおもしろいものはないが、彼女は可哀相だった。おそらく死ぬほど冷たかったろうし、寒かったろう。彼女にとってカヌーはこれが最後になるのか、はたまた、のめり込んでしまうきっかけになるのか。神と彼女の意志のみが知っている。
 しかし、小生ならこんなことはさせない。鬼の小松の所以である。

 下り終わってビールを飲んだら、風邪具合がすっかり良くなった。