今回は宮崎県カヌー協会の合宿ということで球磨川まで出かけた。合宿と云っても何のことはない。現地での集合時間だけが決まっていて、あとはマァ、勝手に出かけてこいという気楽なものである。それでマァ、十分ではあるし、マァマァ、カヌーなんてその程度でいいのである。ビールと弁当持って気楽にやるのであります。


 と、マァ、気楽なことが言えるのは小生だけで、若いモンはそうはいかない。宮崎県のミスターカヌーである山下が、ストップウォッチ片手に河原に陣取る。一人ひとり技量と種目に合わせてコースを決め、気合いを入れてストップウォッチのボタンを押す。カヌーも競技の一コマであります。もちろん、小生は番外の外でありました。

 ワイルドウォーターの選手である日高。厳つい体格と顔の割にはなかなかナィーブな精神の持ち主である。しかし、そこそこに頑固でもあるらしい。山下がそう言う。でもね、若いときの頑固は良くねぇな。とりあえず先輩の言うことにはハイハイと言っとく。考えるのはその後でも遅くはない。若いモンには悠久にたゆたう時間があるではないか。


 我らがゆう子嬢も真剣にならざるを得ない。前回、平成5年の四国国体に出たときには何とか漕ぎきってくれれば良いと思ってもいたけれども、今回の熊本国体はそこそこの成績を上げてもらわねば困る。と、思ってもみるが、所詮、普段はグータラで気楽な小生と一緒に漕いでいるのであるから高望みをしてはいけない。とも思う。

 それでも年中あっちの川こっちの瀬と漕いではいるから、どうにかこうにか格好はついてきた。それに、山下の指導もなかなかに的確である。小生もたまには「そこはこう漕ぐんだ」と見本演技をやってはみせるが、結果として彼女の方がうまかったりする。そんな時、彼女は義理でもわかったようにうなづいても見せる。が、小生には後悔しか残らない。やらなきゃ良かった、と。

 今となっては二桁にもなろうというほど若いモンがいるが、数年前までは「山下さんと一緒に大学生が練習しちょるげな」と言われてきた渕田も、今では若いモンのリーダーに育った。これまでスラロームの表看板だった鬼の小松にも、引けを取らないスラローマーになったが、天狗になるでもなく、いつもニコニコと愛想がいい。これで女にもてないはずはないと思うが、もてたという話は今もって聞かない。

 沈二題。カヌーを漕ぐものにとって人の沈ほどおもしろいものはないが、最近の若いモンは沈してもエスキモーロールで起き上がってくる。脱挺して、アップアップしながら「たすけてくれー」などと叫ぶような仁はいなくなった。以前はそんなやつがいたのである。
 下の二題は、左が前述の渕田。右が山崎。山崎には何度も当ホームページに沈脱の写真で登場いただいている。そんな巡り合わせのなんとも間の悪い男ではあるのだけれども、そこがまた、そこはかとない人柄の好男子である。そこのところを下の写真で感じていただけるだろうか。