尾 鈴 山

 みんなそれなりに忙しい。閑なのは私だけらしい。いや、私だって忙しい時はある。ただ、今回は私が閑でみんなが忙しい。若い連中からも誘いがない。
 私も土曜日は諸先輩達と飲んで、止せばいいのに一人でウロウロと夜の街を飲んでまわったんじゃないかな。
 そうかもしれない。多分そうだろう。どうもそうらしい。ひどい二日酔いだ。
 どうやって帰ってきたかも覚えがないが、ちゃんと自分のベッドで目が覚めた。でも、9時だった。しかも夕方7時からは清武で理事会がある。それに間に合うように帰って来るには・・・。時間を逆算して、尾鈴の白滝までは行けると考えた。
 しかし、なぜ尾鈴になったのかは忘れてしまった。
 昔はトロッコの軌道があったらしい。四輪駆動の軽トラックだったら走って行けそうな道をトットコトットコと歩いていく。ガイドブックには、滝巡りの道と書いてあるのに沢筋の道ではない。ずっと尾根の上を歩く。どうも滝の落差故にそうなるみたいである。
 この山には何度か来たことがある。高校時代の県体だったか、インターハイだったか。その時は矢研の滝で岩登りもした。10年ほど前には、名貫の川でヤマメ釣りに興じたこともあった。見た目、ボーッとした山であるが、なかなかに素敵な山である。
 若山牧水が、
故郷の山は ありがたきかな
 と、詠った意味がわかるような。
 登山口から白滝まで標高差600m、往復の距離11kmを写真を撮りながら歩いて2時間半。沢の水をガブガブと飲み、山の冷気を存分に吸ったら二日酔いも無くなった。大酒飲み諸兄にも二日酔い解消法として是非にもお奨めするがいかがであろう。
 また、うまいビールが飲める。