春近し

高岡

 私の仕事はデスクワークがほとんどである。事務屋ではないのであるが、そんなような仕事に忙殺される。あげく、職住一緒であるから我が家の敷地から三歩も出ないという日が続いたりもする。体はナマりストレスは溜まっていく。
 と、マァ、嘘であります。体はナマっても金も貯まらないしストレスも溜まらない。ついでに、肩が凝ることもない。たまには、針師Arisanにお世話になることもあるけれども、これは古傷の足の治療であります。ありがたいことに現在は、はなはだ気楽な稼業で身過ぎ世過ぎをさせていただいております。



 いまだ2月とは言え冬もそろそろ終わり。梅が咲き、時に南風が吹くようになると腰が落ち着かない。若いもんが川で漕ぐというので見物方々高岡まで出かけてみた。
 すこぶるつきの上天気。風は強いものの身を切る冷たさはもうない。

 全てのものが光の中にある。
キラキラとした金属質の光が山にも川にも満ちている。
ほかの季節にはない真っ直ぐな光が降り注ぎ、若者たちは光の中で漕ぐ。

 今年もカヌーのシーズンが始まる。
 Mr.Canoeの山下も、カヌー協会の役員からは降ろしてもらうと言いながらもストップウォッチ片手に川辺に立ち選手たちの面倒をみる。
 私も、ビール片手に若いもんの面倒をみながらあっちの川こっちの川と今年も漕ぐことにしよう。もう少し暖かくなってから。