講座No.11「食品リサイクル飼料化と高品質肉生産技術」

2006.11.25 10:00〜12:00

場所:都城高専AVR室
講師:宮崎大学農学部入江正和教授


 養豚農家は現在7,000戸程度まで減少したが、飼育頭数は1戸あたり1,000頭まで増加しておりこれは世界でもトップクラスである。一方輸入も増えており以前は加工用肉が多かったが高速船の開発により生肉も多く入ってくるようになった。豚肉生産は低コスト化と高品質化の国際競争時代に入っている。
 食料自給率は1960年の79%が2002年では40%まで落ちている。ヨーロッパや中国など略奪や争いの歴史の国に比べ、日本は自給率を守るという危機意識に欠けているのではないか。
 日本では一人当たりのカロリー供給量2,650Kcalのうち摂取量は1,950Kcalであり700Kcal(25%)を廃棄している。量でいうと2,000万トンと米の生産量に匹敵する。世界の1割が飢餓に苦しんでいるが、食料にもなるトウモロコシを日本は飼料として輸入している。(貧しい国は価格競争で負ける)また廃棄される食料は富栄養化を引き起こし土壌汚染につながる。
 昔は日本でも残飯を養豚に利用していたが、養豚頭数の拡大に伴い廃れてきた。(残飯を集める手間や煮沸する時間)
 食品リサイクル飼料化は安全性・家畜の嗜好性・栄養価値・安価・量の確保などはクリアできるが、収集や給与の手間・飼料の加工が環境に悪影響を与えない・肉質に悪影響を与えないという問題をクリアしなければならない。
 入江教授はこれらの問題に関し多くの事例でクリアされており、リサイクル飼料化の様々な方法や高品質の肉を生産する方法を聞くことができた。


入江教授

養豚農家の戸数は減ってきたが、一戸あたりの飼育頭数は増えている。しかし海外産の安い肉との競争になっており低コスト化・高品質化が必要

パンくずから作った飼料で配合飼料よりサシが増える。脂肪含有量はコントロールできる。

真空乾燥機や気流乾燥機を使い、サラサラの飼料になる。ここではプラスチックの焼却熱も利用している。

食品リサイクルシステムで循環型社会を目指す