講座No.25「都城盆地の地下水水質保全」

2007.1.20 13:00〜16:00

場所:都城高専AVR室
講師:宮崎大学工学部杉尾哲教授


 地球に存在する水のうち97%は海水であり、3%の真水のうち2.5%は氷である。0.5%は地下水であり、川や湖の水は0.001%しかない。
 地下水は長い時間をかけて流れる、水量が一定、水温が一定(ほぼその土地の平均気温と同じ、宮崎では15℃くらい)、水質が良好(ミネラル豊富)などの特徴がある。
 一方地下水の汚染は発見しにくい、原因者を特定しにくい、対策の効果が現れにくいという特徴がある。
 都城盆地の一部の地区の地下水の硝酸性窒素の濃度が基準値を超えている。原因となる生活排水や畜産排水、施肥などの有機性窒素はアンモニア性窒素>亜硝酸性窒素>硝酸性窒素と硝化されていくが、亜硝酸性窒素や硝酸性窒素はマイナスイオンであり、土壌もマイナスコロイドであるため土壌に吸着されにくい。(土壌によって浄化できない)
 硝酸性窒素の過剰な摂取により、乳児におけるメトヘモグロビン血症の原因となることから、水道水質基準として亜硝酸性窒素と硝酸性窒素の合計で10mg/Lとされている。
 杉尾先生は地下水汚染の実態調査や汚染の原因、汚染のメカニズムの研究を続けてこられた。本日の講義では実際の畑や実験装置でのデータ解析など詳しい説明があった。
 水道水のほぼ100%を地下水にたよっている都城市民として、また大淀川の上流の住民として汚染防止対策に、できるところから取り組まなければならないことが理解できた。


杉尾教授

地下水には被圧地下水と不圧地下水がある

都城盆地の東西の断面図

環境を守るには市民一人一人の改善行動が重要である